000：恋は盲目

カテゴリを「数年後」にしてみましたが、
「小夜曲」と「数年後」の世界の狭間にあるお話です。
私の中では、
これより前がブライスとか巨頭子で表現する世界、
これより後がＳＤで表現する世界
ってかんじです。

「数年後」は主役がニーナです。
ニナと珠華と、もうひとり増えるんですけど、
主な登場人物はその３人かな。
物語が半ばまでくれば、さらにひとり…増えるかな？
うーん。
なかなか「このヘッド！」って思えるのがないんですよね。
だからお話だけの登場にしちゃうかもですが。

長いですが「つづき」からどうぞ。

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■ニーナ
るんるんる～ん♪
リィたーんっ。
あーそーぼーっ

（しーん…）

■ニーナ
あれ？
おるす？？
リィたんいないの？
…なんでぇ

■？
この子で間違いないな

■？？
白いうさぎ…これがあの方の……

■ニーナ
ふぇ？
おじちゃんたち、だぁれ？

■？
我々と一緒に来てもらおうか

■ニーナ
…ダメっ！
知らないおじちゃんについて行っちゃ
いけないんだよ。

■？？
なら力ずくでも…

（ニーナ、引きずられる）

■ニーナ
ふにゃあ～。
助けてぇ。リィたーん。おねぇたーんっ

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■リコリス
（遅くなっちゃったなぁ…。
玄関でニナちゃんが待っていたらどうしよう）
あれ？ いない…。
今日、来るんだよね？

（携帯をとりだす）

Tu lu lu lu ...

■有栖
…ん、アイリスだ。

■リコリス
あのさ、ニナちゃんって…

■有栖
なんだ、リコリスか

■リコリス
…うん。
ニナちゃん、そっちにいる？

■有栖
は？ チビはちゃんと送ったぞ

■リコリス
そう。…でもいないんだよね

■有栖
どっかに隠れてるんじゃねえの？

■リコリス
そうならいいんだけど…。
少し探してみるよ

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■リコリス
…はぁ。
やっぱりいないなぁ。
どうしたんだろう

Tu lu lu lu ...

■リコリス
はい…

■？
珠華。

■リコリス
…父さん

■リコリスの父
そろそろ家に戻ってきたらどうだ？
もう十分遊んだだろう

■リコリス
お断りします。
確かに家に戻ると言いましたが、
それは将来の話。
僕はまだ戻りませんよ。

■リコリスの父
事情が変わったんだ。
幹部のひとりが、この間
台湾系のマフィアに殺された。
我々、上海のものとしては…

■リコリス
それはそちらの事情でしょう？
僕には関係ありません。

■リコリスの父
どうあっても、戻ってこないつもりか？

■リコリス
えぇ。

■リコリスの父
なら仕方ない……
ほらっ…何か話せ

■ニーナ
…リィたんっ

■リコリス
ニナちゃん？

■ニーナ
ふぇ…リィたん……ぐすっ

■リコリス
え？ニナちゃん？ どうしたの？
なんでそこにいるの？

■リコリスの父
お前が気に入っている娘はこちらにいる。
それでも戻ってこないつもりか？

■リコリス
…卑怯ですよ。

■リコリスの父
ふっ…。マフィアとはそんなものだ

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■リコリス
父さん…。
ニナちゃんはどこですか？

■リコリスの父
こっちだ…

（ガチャっ）

■ニーナ
リィたんっ

■リコリス
ニナちゃん…っ。
大丈夫？
何かされた？

■リコリスの父
何もしていないさ…まだな。

■リコリス
父さんっ。
彼女は関係ない

■リコリスの父
関係ないなら、殺してもかまわないな？

■リコリス
く…っ。
何が望みですか。

■リコリスの父
戻ってこい

■リコリス
僕は………っ、わかりました。
だから彼女を解放してくださいっ

■ニーナ
リィたん…っ

■リコリス
大丈夫だからね。
絶対に小夜ちゃんのところに帰してあげるから

■リコリスの父
……そんなに大事なのか？？

■リコリス
だったらなんだっていうんです？

■リコリスの父
いい枷ができた。
…家に帰してやれ

■部下
はっ…

■ニーナ
リィたん…。ニナ、おうちにかえれるの？

■リコリス
うん、そうだよ

■ニーナ
リィたんは？

■リコリス
僕も…『家』に帰るよ

（ニーナを抱きしめる）

■ニーナ
リィたん？

■リコリス
ごめんね。まきこんで。
もう、こんなことはないから…

■ニーナ
うん…

■リコリス
だから「さよなら」だよ

■ニーナ
ふぇ？

■リコリス
ここでお別れ…ってこと

■ニーナ
いやぁ。ニナ、リィたんといっしょにいるっ

■リコリス
…ダメだよ。
おうちに帰りなさい。

■ニーナ
リィたん…、リィたんもニナを置いて行っちゃうの？
ニナ、もうおいてきぼりイヤだよぉ

■リコリス
でも…

■リコリスの父
娘、こっちの世界にくる覚悟はあるか？

■リコリス
父さんっ

■リコリスの父
家族と会えなくなるが、
それでもいいか？

■ニーナ
…うん。
ニナ、リィたんといるっ。
リィたんのこと、アイシテルもんっっ

■リコリスの父
愛してる…ね。
お前も愛してるのか？

■リコリス
えぇ…。
だからこそ、
こっちの世界に入れるわけにはいかないんです

■ニーナ
ふぇ…リィたんはニナとバイバイしたいの？

■リコリス
違うよ。
別れたくなんてない…でも

■ニーナ
どうしていっしょにいられないの？

■リコリス
ニナちゃんが綺麗だからだよ。
ニナちゃんの瞳が綺麗だから、
汚いこっちの世界を見てほしくないんだ。

■ニーナ
ニナのおめめ…。
これがあるから、
いっしょにいられないの？
なら、いらないっ。
こんなおめめ、いらないっ。

（ニーナ、自分で目を傷つける）

■リコリス
ニナちゃんっ！

■ニーナ
リィたんといられないなら、
こんなおめめいらないぉ～

■リコリス
違う…っ。違うんだよっ

■ニーナ
ふぇっ…イタいよ～

■リコリス
血が…。
救急車を…急いでっ

■リコリスの父
その娘、なかなかの根性だな

■リコリス
何をしているっ。
急げと言っただろう！

■リコリスの父
（珠華が怒鳴るところなんて初めて見たな…）

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■小夜子
どういうことか、
説明してもらえますか、リコリスさん

■リコリス
僕の実家は中国マフィアなんだ。
そのいざこざに巻き込まれて…

■小夜子
ニーナは、もう目が見えないんですよ！
どうして、守ってくれなかったの？！

■ニーナ
違うよ、おねぇたん。
ニナ、自分でしたの。
ニナのおめめがあると、
リィたんといっしょにいられないから。

■小夜子
どういうこと？

■リコリス
僕の言葉を誤解したみたいで…

■小夜子
何を言ったの？

■リコリス
ニナちゃんが綺麗だから、
汚い世界でいっしょになれない…って

■小夜子
あなたがそんなこと言ったから、
ニーナは…っ！

■有栖
…少し落ちつけって

■小夜子
落ち着いてなんかいられないわよ！

■有栖
いや、一応、ここ病院だから…

■小夜子
有栖はあの人の味方なの？！

■有栖
そうじゃなくて…

■ニーナ
ニナ、おめめ綺麗じゃなくなったから
リィたんといられるよねっ♪

■リコリス
いや…それは……

■有栖
おいっ。
自分で言ったことだろ。
責任とれよ

■ニーナ
おねぇたん…泣かないで。
ニナはシアワセだよ。
リィたんといられるだけで、
ニナはシアワセっ。

■リコリス
ニナちゃん…

■小夜子
そんなにあの人が大事なの？

■ニーナ
うんっ

■小夜子
私より？

■ニーナ
ふぇ…うーん、
おねぇたんはスキ。
でもリィたんもスキっ。
おねぇたんといっしょ。
おねぇたんもあーちゃんスキでしょ？

■小夜子
それは…っ

■リコリス
僕はニナちゃん好きだよ。
愛してる。
ずっと一緒にいたいと、真剣に思っている。

■有栖
…じゃあ仕方ないな

■小夜子
有栖っ

■有栖
俺だって、小夜子のこと
マジで一緒に幸せになりたいと思ってるし。
その気持ち、わからなくはないよ

■小夜子
でも…私はあなたを許さない。
ニーナを傷つけたあなたを
私は許さない！

■リコリス
わかっているよ…。
ニナちゃん、帰ろうか。
いっしょに。

■ニーナ
うんっ♪