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手芸も写真も好きなので、
outfitを作ったり、
いろんな場所で写真を撮ったり。
そんな活動の記録です。
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小夜曲 1周年記念小説
ご要望のあった、
小説カットですが、
さすがにシーンを再現するのは難しいで、
最終回だけ違うお写真にすると
宣言しました。
で、今日、撮ったのですが
うーん…お人形でコレはありかしら?
と思ってしまった。
まぁ、こんな感じにふたりの関係が進んでいけばいいな
という希望的観測です(笑)
調子にのって、いろんな角度から撮ってしまったので、
オマケで何枚か載せるかもしれません。
では、最終回まで、まだまだありますが
第4回、お楽しみください。
Boy meets girl... 第4回
【Boy meets girl... 第4回】
横浜の洋館に着くと、控え室として男女別に部屋が与えられた。
ここで俺たちは衣装に着がえて、彼女ができるまで待機。
「あんなわがままな子だとは思わなかった」
「けっこうズケズケ言うよねぇ」
喜怒哀楽の激しいドラムのカメリアが言うと、
おっとりとしたリコリスが援護する。
それに背く形で、ギターをいじりながらリーダーが言った。
「そっけないけどしっかりした答えだった。ちゃんと理由があってのことだろう」
俺に話を振られるが、どっちにもつけねぇな。
ついたら最後、いきつくところまで振り回されるんだぜ。
一番年下の俺にコイツらは止められねぇし、そんなのはゴメンだ。
俺はただ歌っていられれば、それでいい。
だけど、彼女の態度は…。
「確かにズケズケ言うと思った。けど、それは我が侭じゃなくて、もっと…」
「もっと?」
続きをうながすリコリスに、頭がパンクした俺は「わからねぇよ」と言い置いて、
さっさと出て行こうとした。
が、俺がドアに手をかけるより先に、勢いよくドアが開けられる。
「できましたよ~、小夜ちゃん。すっごい美人さんっ」
マネージャーが興奮した様子で報告に来た。
その後ろを数歩遅れて歩いてきた彼女は、確かに美人だった。
鶯色に菖蒲の訪問着。藤色の落ち着いた帯。
しずしずと歩いてくる様は、曲に出てくる女性そのものだった。
「小夜さんの撮影が先ですので、中庭へお願いします」
「はい」
監督の指示で歩く彼女を、俺はただ呆然と見ていた。
監督に呼ばれたのに気づかないほどに。
映像のチェックをメンバーと監督でして、
それから俺とのツーショットを撮った。
白い日傘を差した着物姿の彼女が、
犬のように捨てられている俺に手を差し出す。
その手をとって立ち上がると、わずかに傘をかたむけた彼女の手が
俺の頬に触れた。
「―アイリス」
そして先を歩く彼女に、ひきよせられるようについて行った。
カットが入り、また映像のチェック。
そのとき、あのセリフが音のない映像として流れていることに違和感を感じた。
モニターの中にいる彼女は「アイリス」と俺を呼んでいるのに。
何故、聴こえない? 何故、届かない?
「なぁ、このセリフ、いれられないかな」
ぽつんと言った言葉にリーダーは少し考える。
歌は確か、「いずれがアヤメかカキツバタ」というところにあたる。
そのあとにボリュームを絞って「―アイリス」と入れれば綺麗じゃないか?
俺が説明すると、リーダーはその方向で調整するといってくれた。
リーダーは、あとでスタジオで音がほしいと彼女に説明している。
その顔は先ほどよりあどけなく見えた。
『―っ』
一瞬、こみ上げた想いを息と一緒に飲み込む。
何かの間違いだ。…そう、自分自身を納得させた。
つづく…