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プロフィール
HN:
薫令(かおれ)
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/02/23
職業:
大学生
趣味:
手芸・工芸・文芸
自己紹介:
ドール大好きっ子の薫令です。
手芸も写真も好きなので、
outfitを作ったり、
いろんな場所で写真を撮ったり。
そんな活動の記録です。
手芸も写真も好きなので、
outfitを作ったり、
いろんな場所で写真を撮ったり。
そんな活動の記録です。
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【Boy meets girl... 第3回】
日程を調整し、朝からロケバスだった。
舞台は横浜。
明治・大正の趣の残る洋館へ訪れる。
ロケバスの中で、小夜は延々と教科書を開いていた。
重苦しい雰囲気だった。
それもそのはず。
ロケバスに乗る前の自己紹介のとき、
「小夜と申します。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
ときたもんだ。
普通、出演するバンドのメンバーくらい知ってるだろ。
究めつけはこれ。
「あのさ、小夜ちゃん。何の勉強しているの?」
と、気をつかって聞いたリーダーに対して、あの女、こう言ったんだぜ。
「数学です。見ておわかりになりませんか?」
傲慢っ。どんだけお嬢だよっ。
あんなに惹かれた微笑みも、所詮カメラの前だけか。
―ん? うしろにいるリーダーに肩を叩かれた。
手振りで、俺が質問しろと言っている。
こんな高飛車な女、誰が相手にするか―と思ったけど、
まぁリーダーの指示ですしぃ、ぐっとこらえて聞いてみた。
「今日撮影する曲、聴いてみた?」
「えぇ、事務所を通していただいたものでしたら」
『お? まともな答えが返ってくるじゃん』
その調子…と自分を励まして、問いを重ねる。
「どうだった?」
「どう―とおっしゃいますと…」
「好き? 嫌い?」
「どちらかといえば、好きです」
『どちらかといえば…かよ。普通、好きって言うもんじゃねぇの?』
「んー、じゃぁ、5段階評価でいくつくらい?」
ちなみに1が最低で5が最高。
高校生には成績表でおなじみの評価方法だろう。
「その問いはあまり意味がないと思います」
どういうことだ? 意味がないって…。
俺が表情で示すと、「経済の先生の受け売りですが―」と前置きをして
彼女は俺を見て説明した。
「日本人は特に、1や5には票を入れにくいものです。
1というには極端なマイナスイメージには慣れていませんし、
5という完璧なものはありえません」
「どんなものにも、ひとつくらい粗があるってことか?」
「そうです。それに統計学では両端5%は切り捨てですから、
1や5という評価に意味はないんです。
ですから、好きな方は4に、嫌いな方は2に入れます。
肝心なのは、「どちらともいえない方」と「どうでもいい方」が、
同じく3に入れるということです。
そうしますと3の量が多くなり、平均値はおよそ3になります。
この問いで最も重要なのは2と4の票なのに」
そこまで言うと、彼女はまた教科書に視線をもどした。
考えれば考えるほど、彼女の言うことにも一理あると思う。
俺だって、どうでもいい授業のアンケートは3に入れるし、
嫌いな授業だって2にしか入れない。
1と5なんていれたのは数えるほどだ。
「で、小夜ちゃんはいくつなんだ?」
単純に聞いてみたかった。
果たして2とくるか3とくるか―。
「4です」
驚いた。4? つまり好きということか?
「先ほども、『どちらかといえば好き』だと申し上げました」
『どちらかといえば』―ね。
たしかにそんなようなことを聞いたよ。
「ロックというジャンルをあまり聴かないので、比較対象が少ないんです。
でも、この-Plantaes-(プランツ)では好きな曲のひとつです」
「小夜ちゃんは俺たちの他の曲も聴いてくれたのかな?」
後ろからリーダーが口を挟む。
「はい。CDになっているものは全て聴きました」
ロックは聴かないって言ってたよな。
っつうことは、オファーがあってから聴いたのか。
アルバムだけでも3枚はだしているから、それなりに量があったはずなのに…。
「どうだった、今回の曲は?」
「歌詞は素敵でした。曲にも和の要素があってとても気に入っています」
『とても気に入っている』のに、評価は『4』。
彼女の中で気に障ることがあるってことだよな。
「どこが悪かった?」
この質問に、リーダーが息を呑んでいた。
他のメンバーも急に真剣な眼差しになった。
「正直に申し上げますと―、歌です。へんなところでブレスが入っていて、
せっかくの歌詞が生かせていません。
それからもっと伸びのある声を期待していました。
あとは…、全体的にテンポが崩れる小節があって、気にかかりました」
歌―つまり俺か。
素人さんにこういうこと言われちゃうんだから、
リーダーから厳しいことを言われそうだ。
もっと練習詰められるんだろうなぁ…はぁ。
つづく…
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