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手芸も写真も好きなので、
outfitを作ったり、
いろんな場所で写真を撮ったり。
そんな活動の記録です。
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名前って特別なものだと思うんですよね。
赤ちゃんが生まれた時だって、
親はすごく考えて名前をつけるんだと
思うんです。
だって、初めての贈り物だから。
それはきっとドールの場合も一緒で
お迎えした子に名前をつける。
そこから、その子の人生が始まると思ってます。
まぁ、すごくウェットな考えですけど。
【Boy meets girl... 第16回】
年明け、俺は小夜子の家の側の部屋を探した。
クリスマスで一度来ていたからな。
場所はすぐわかった。
本当は事務所から部屋借りてたんだけど、
側にいたほうがちょっとでも長く小夜子と会えるじゃん。
だけど、家賃って高いのなぁ。
別に俺の給料なら出せない額じゃないけど…。
ひょっとして事務所の部屋は社宅扱いだったのか?
不動産屋のウィンドウで物件を探していると、
後ろから声をかけられた。
「えーっと…小夜子のお友達…よね?」
振り返ると黒髪ロングのメガネっこがいた。
うーん、あんまりオシャレには興味ないんだろうけど、
メガネをはずすと可愛いタイプとみた。
…って分析してる場合じゃなくて。
この女とどっかで会ったことあるか?
「小夜子の友達の薫令です。こうして話すのは初めましてかな」
薫令…かおれ……あぁっ。クリスマスのとき邪魔しやがったヤツ。
あの電話がなければもう少し一緒にいられたのに…。
「アイリスです。初めまして」
腹のうちは隠して、にっこり営業スマイルで言った。
やっぱ、小夜子の友達に悪印象もたれるのもマズイし。
「立ち話もなんだし、お茶でもいかが?」
そういわれて、ドーナツを売っている店に入った。
そのくせ、トレイに乗せるのはライオンがキャラクターになってるリングだけ…。
ドーナツ食えよ、ドーナツ。
俺は適当にとって、レジを済ませた。
禁煙席を選んで座ると、薫令はリングを全部半分にし始めた。
何やってるんだ?
「あのさぁ、アイリスって小夜子の誕生日にティアラくれた子でしょ」
「あぁ…まぁ……」
「で、ぶっちゃけ小夜子のこと、どう思ってるの?」
へ? 直球すぎねぇか?
薫令を見やると、さっき分けたリングを片方だけ食べている。
3種類目を手にしたところで、言った。
「だってあのカード、どうなのかなぁって」
「読んだのか?」
他人に読まれていたことが、急に恥ずかしくなる。
なんで見せたんだよっ。
いや、小夜子は見せるような女じゃねぇな。
ってことは事故かこの女が勝手に見たかだろうけど…。
「うん。プレゼントあけるときに落ちてきた。
あっ。言っとくけど、小夜子が見せたんじゃないからね」
「そりゃぁわかってるよ」
「……だよね。で、どう思ってるの?」
リングを食べる手を止めて、俺を見る。
薫令…。
クリスマスのときに電話かけてきた以外にも
聞いたことがある気がする。
『私が大切なのは妹と薫令ちゃんだけだし、
ふたりを守るためならなんでもするわ』
そんなようなセリフを小夜子は言わなかったか?
ってことはなにか?
『妹』も込みなら『この女』も込みってことだよな。
はぁ…。言ってみますか、正直に。
「守ってやりたい。いや、頼ってもらえるような男になりたい。
あのままじゃ、小夜子は倒れちまう」
「……小夜子のこと、よく見てるのね」
「当然だろ」
俺が愛してる女なんだから。
「そっかぁ。よかったぁ~」
急にうれしそうに言うと、またひとつリングを口にする。
何種類目だよ、オイ。
「なにがよかったんだ?」
「ん? 小夜子のこと、ちゃんと見てくれる人がいて。
小夜子はしっかりさんでも優等生でもないから」
「わかってんなら、お前がとめろよっ」
ガタンっ―とテーブルを叩いて立ち上がった。
なんで、小夜子が無理してんのわかっていながら、とめねぇんだよ。
あんた、俺と同じくらいの歳だろう。
小夜子の友達なんだろう。
なんで―。
「とりあえず、座って。ちゃんと話すから」
言われて、客の視線が集まっていることに気づいた。
俺はしぶしぶ席につくと、女を見た。
「ちょっと待ってね」
そう言うと、せっせとお持ち帰り用の袋にリングを詰め始めた。
まだかよっ。
いつまで待たせる気だ?
「んー、よしっ。入った。歩きながらでいい?」
俺は残ったジュースを持って、席を立った。
づづく…