010：有栖 to アリス

有栖という名前は
「不思議の国のアリス」からきているわけではありません。
「有/栖/川/有/栖」とぃうミステリー作家さんからいただきました。
短編で読みやすい小説ですよ。
見かけましたらぜひ。

話がそれましたが。
今日のお話は「有栖」と「アリス」のお話です。
正確には…まぁ、いいや。
読んでみてください。

では「つづき」からどうぞ。

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【有栖　to アリス】

（リビング）
■有栖
あれ？　ちび先に帰ってたのか？

■ニーナ
あーちゃん、今日は違うお洋服なんだね☆

■有栖
あぁ、薫令がやっと買ってきたからな。

■ニーナ
ニナもおきがえするぅ～


＋＋＋

■有栖
お、おいっ。散らかすなって。

■ニーナ
おきがえ～。おきがえ～。

■有栖
あぁ。…ったく、どうすっかねぇ。
《ちらかった洋服を見渡して》
（ん？　あれってたしか…）
なぁ、ニナ。
これ、着てみないか？

■ニーナ
アリスちゃんだぁ。
（ともぶ～さんのアリス服を身体に合わせてみる）

＋＋＋

■アリス
…待て。ニナはこっちのがいい。
（タータンチェックの帽子を差し出す）

■ニーナ
え～（不満げ）

■有栖
ニナはアリスじゃなくて白ウサギだろ

■ニーナ
う～ん…（想像中）……そうかも

■有栖
な。だからニナはこっち

■ニーナ
うんっ。


＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
（ニーナ、着がえ済み）

■小夜子
ただいま…って何があったの？！

■ニーナ
お洋服探してたのぉ

■小夜子
お片づけしなきゃダメじゃない

■ニーナ
今するも～ん

■小夜子
じゃぁ、一緒に片付けましょう

■ニーナ
……はぁ～ぃ。

（ひとつひとつ、クローゼットに戻す小夜子）

＋＋＋

■ニーナ
あっ。このお洋服はいいの。

■小夜子
あら、ニーナが着るの？

■ニーナ
違うよぉ。おねぇたんが着たらかわいぃなって。

■小夜子
私が？

■ニーナ
うん☆　ダメぇ？

■小夜子
…はぁ。
着てくるから、ちょっと待ってなさい。

■ニーナ
やったぁ☆

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■小夜子
どうかしら？

■ニーナ
かっわいぃ～♪

■小夜子
ニーナも可愛いわよ

■ニーナ
おねぇたんvv

■小夜子
おいで…。だっこしてあげる

■ニーナ
やったぁ☆
（抱きついていこうとしたところで、有栖が入ってくる）

＋＋＋

■有栖
よぅ。やっと着がえたな

■ニーナ
あっ。あーたん！
見てみてー。似合ぅ～？
（有栖にとびつく）

■有栖
すっげぇ、かわいぃ。
ちびっこなんて言ってられねぇな
（ニーナを抱き締めて頭を撫でる）

■小夜子
（ニーナは有栖が本当に好きなのね…）

■ニーナ
ちびっこじゃないもんっ。
あーちゃん、わかってるの？

■有栖
わかってるって（ウィンク）

■小夜子
（私にはあんな顔見せないのに、どうして…）

＋＋＋

■ニーナ
あっ。おねぇたーん☆

■小夜子
（すくっと立ち上がって）
ごめんね。ちょっとお部屋に戻るわ

■ニーナ
ふぇ？　だっこダメ？

■小夜子
有栖にしてもらえばいいじゃない

■ニーナ
ニナはおねぇたんがいいよ…（うるうる）

■小夜子
………。
（小夜子、ニーナに背を向けたまま）

■ニーナ
ふぇ…。おねぇたんはニナのことキライ？

■小夜子
…ごめんなさい。
（小夜子、部屋を出て行く）

＋＋＋

■ニーナ
うぇーん。おねぇたんに嫌われた…。
何がいけなかったのかなぁ？
ニナ、悪いことした？

■有栖
ニナは悪くねぇよ

■ニーナ
でも、おねぇたん、ニナのこと嫌いって言った

■有栖
言ってねぇだろ。
小夜子はちょっと拗ねてるだけだよ

■ニーナ
そんなことないもんっ。
おねぇたんは、
いつも、やさしいの！

■有栖
あぁ、そうだな。
俺が全部悪いんだ。
連れ戻してくるから、お菓子でも食って待ってな

■ニーナ
…ホントに？
おねぇたん、またニナのこと好きになってくれる？

■有栖
今でも好きだと思うけど？
好きすぎて、どうしたらいいかわからなかっただけだよ。
…じゃ、いいこで待ってろよ。

■ニーナ
……ぅん。


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（小夜子の部屋）
（ピンクのちりめんのウサギを抱えて、
床に座って泣いている小夜子）

■有栖
泣くときは大声あげたっていいんだぜ
（背中越しに声をかける）

■小夜子
泣いてなんかいないわ。
それより、ノックもなしに部屋に入ってこないで

■有栖
んー、まぁお姫様が泣いてたら、
助けにくるのがナイトの務めだろ

■小夜子
なにそれ…っ。
私はお姫様なんかじゃないって言ってるでしょ

＋＋＋

■有栖
（絶対に我が侭なんて言わないってことか…また強情な）
そうか？ 誰だって惚れた女はお姫様だろ
（部屋においてあるティアラを、小夜子につける）

■小夜子
やめてっ。（有栖の手をはらう）
いったい、いつまで私を振り回せばきがすむの？

■有栖
小夜子が俺に…縋りつくまでかな

■小夜子
…っ。本当は私のことなんてどうでもいいんでしょう？
あなたは思い通りにならない私に意地になっているだけよっ

＋＋＋

■有栖
（そっと後ろから小夜子を抱き締める）
愛してる

■小夜子
（な、何を言っているの…？）

■有栖
愛してるから、小夜子に甘えてほしいし、頼ってほしい
（あ～あ。ホントは小夜子が好きになってくれるまで、
言うつもりなかったんだけどなぁ）

■小夜子
……っ。なんでっ。なんであなたは…

■有栖
ん？　言っちゃえよ。心の中、全部。
他には誰もいないからさ、ほら。
（覗き込むように様子を窺う）

■小夜子
………なんであなたは、私が欲しかったコトバを全部知ってるの？
私が欲しかったものをくれるの？
私だって…私だって甘えたかった。助けてほしかった。でも私はっ、
ニーナを守らなきゃいけないから、そんなこと言えないのよっ！
私は全てをかけてきたの。だから取り上げないでっ。
……私にはニーナしかいないの

＋＋＋

■有栖
俺がいる

■小夜子
（え？…）
（小夜子、振り向く）

■有栖
（小夜子の涙を拭う）
小夜子には俺がいる。俺が小夜子を守るよ。
だから…もっと頼っていいんだ

■小夜子
い…いの？
（私は、この人に甘えてもいいの？）

■有栖
あぁ。俺の前でだけでいいから、がんばるのやめろよ

■小夜子
……なんで有栖は、そんなにしてくれるの？

■有栖
言っただろ、愛してるって（ウィンク）

■小夜子
…………。
（愛…。　私を？　それだけで？）

＋＋＋

■有栖
（うーん…まだ頼ってはくれねぇか）
でもまぁ、今日は俺が甘えさせてもらうしぃ、
今度そのお返しに存分に甘えさせてやるよ

■小夜子
有栖が甘えるって…何を？

■有栖
え？　わかんねぇ？
その服だよ。
すっげぇ可愛い。
どんな女より美人だぜ

■小夜子
…っ、ほめすぎよ

＋＋＋

■有栖
そうか？　好きな女が俺の名前の服着てるんだぜ
マジでうれしい

■小夜子
有栖の名前の服？

■有栖
え？　わかんねぇ？
ニナは白ウサギだっただろう。

■小夜子
（もしかして）…っ、アリス服。

■有栖
そうそ。もっと抱き締めていい？

＋＋＋

■小夜子
ちょ、ま、待って。
これはニーナが着ろって言うから着たんだからっ。
別に―

■有栖
んー、そのニナに『おねぇたんに着せたら？』って言ったの
俺だぜ。

■小夜子
なっ……。

■有栖
だって見たかったんだもん。

■小夜子
そ、そんな言い方したってダメよ

■有栖
えー、もっと　ぎゅぅ　させてくれよ

■小夜子
……有栖っ。

＋＋＋

（コンコンっ）

■ニーナ
おねぇたん…（おそるおそる）

■小夜子
ニーナ…

■ニーナ
あー。あーちゃんズルイっ。
おねぇたんにぎゅぅしてる～。

■有栖
おとなしくリビングで待ってろって言わなかったか？

■ニーナ
だって遅いんだもん。
ニナ、おねぇたんに嫌われても、いっしょがいいよぉ（うるうる）

＋＋＋

■小夜子
ニーナのこと、私は大好きよ

■ニーナ
でもさっきはやさしくなかった…

■小夜子
あのときは…

■有栖
俺がニナとぎゅうしてたのがうらやましかったんだって

■小夜子
何言ってるのよっ

■ニーナ
ホント？　ニナにぎゅぅしたかったの？

■小夜子
（有栖のバカぁ）
……本当よ。だってニーナが一番好きだもの

■ニーナ
いちばんっ？

■小夜子
一番♪

■ニーナ
やったぁ☆

＋＋＋

■有栖
なぁ、俺は？
俺は小夜子のなかで何番目？

■小夜子
（ニーナでしょ。薫令ちゃんでしょ。それから…）
…………………。

■有栖
もういい。わかった。
（どんだけ低いんだよっ）

■ニーナ
あーちゃんの番はおわりっ。
今度はニナがぎゅぅするのー。

■有栖
えー。みんなでぎゅぅすりゃいいじゃん。

■ニーナ
みんなで？

＋＋＋

■有栖
ふつうにぎゅぅしてごらん

■ニーナ
おねぇたーん☆
（とびついて押し倒し）

■小夜子
きゃぁ……い…たくない？
（後ろを振り向く）

■有栖
（有栖が後ろから小夜子を抱きかかえてる）
これで3人いっしょ。だろ？

■ニーナ
うんっ☆
あーちゃん、あたまいいー。

■有栖
おうっ。
…小夜子も、満足か？

■小夜子
満足なわけないでしょうっ

■ニーナ
ニナとぎゅぅはイヤ？

■小夜子
そうじゃないの。だからね…
（あぁ、もうっ）